2021/09/27
こんにちは。
きずな日暮里接骨院の藤田丈裕です。
「腰が痛い時は腹筋」と聞いたことはありませんか?
痛みを改善するために、運動を選択することはとてもいいことなのですが、運動する種目によってはその運動が返って痛みを強くしてしまうことがあります。
例えば、悪い姿勢と言えば骨盤が後ろに傾いていて、背中が丸まっている猫背の姿勢が代表的です。
姿勢が悪いと、腰ばかりに負担が集中する身体の使い方やクセになりがちです。
「腰が痛いから腹筋をしよう。」と、上体起こしを選択してしまうと腹筋の上部に刺激が入り、上腹部ばかりが鍛えられて下腹部との筋力差が生まれてしまいます。
良い姿勢になるためには、骨盤が前にも傾きやすくなることがとても重要です。
そのためには、お尻の筋肉と下腹部のインナーマッスルを上手に使える様になることがとても重要なのですが、上体起こしを続けてしまうと使うのが上手になるどころか、下腹部を使う頻度が少なくなるため、場合によっては下手になってしまいます。
今回は姿勢改善のためにも、腰痛のためにもオススメなセルフケアをご紹介させていただきます。
実践
今回紹介させていただくのは、「ドローイン」です。
では、さっそく実践してみましょう。
①膝を立てて仰向けになる。
②骨盤を前に傾ける。
ブリッジをするようなイメージです。
この時、お尻を絞めた時にお尻の穴付近だけが締まる感覚があれば、上手くできています。
ちなみに、お尻の割れ目全体が閉じる感覚があれば、骨盤が後ろに傾いています。
③お腹を最大限凹ませる
④お尻の穴を絞める。
この時、下腹部の部分がピクっと力が入る感覚があると思います。
このピクっとする感覚をぼくは「インナーマッスルにスイッチを入れる。」と表現しています。
⑤スイッチを入れたまま、深呼吸をする。
吐いた時に、下腹部に力が入りキツイ感覚や、絞められて痛い感覚があると思います。
それを意識しましょう。
さらに、深呼吸をする時は鼻から吸って、口から息を吐きましょう。
ドローインとは?
これが「ドローイン」という種目です。
ドローイン:draw inとは、「引き締める」「吸い込む」などを意味する英語です。
腰痛の軽減、ウエストの引き締めなどを目的に体幹を鍛える種目の一つです。
腹部の筋肉を鍛えることができて、とくに腹横筋という筋肉を効率よく鍛えることができます。
ドローインと調べてみると、ドローインは効果がない!時代遅れだ!なんならむしろ悪影響だ!という記事もたくさんありますが、安心してくださいね。
運動はなんでも目的次第です。
このドローインの目的は、
1.腹横筋を使っている感覚を知って上手に使えるようになること
2.骨盤が前に傾いてる感覚を養うこと
が目的です。
なので、この運動だけ行っていればいいというわけでもありません。
腹横筋を使う感覚を付けるにはこれが一番簡単ですし、前傾に傾けながら行うことで普段でも前傾時にインナーマッスルが働きやすい身体の使い方になるキッカケを作ってくれます。
腹横筋ってどんな筋肉?
先ほど腹横筋という言葉がでてきました。
この腹横筋とはどんな筋肉かというと、インナーマッスルのひとつで、腹圧を高めてくれる筋肉です。
腹筋は主にアウターマッスルである「腹直筋(ふくちょくきん)、外腹斜筋(がいふくしゃきん)」と、インナーマッスルである「腹横筋(ふくおうきん)と内腹斜筋(ないふくしゃきん)」に分けられます。
身体を大きく動かしたり、何かを持ち上げたりなど大きな力を発揮するのはアウターマッスルです。
関節を安定させたり、姿勢を維持したり、内臓を支えたりする時に活躍してくれるのがインナーマッスルです。
腹横筋は腹式呼吸で息を吐く時に最も働き、コルセットのようにお腹を締め付けて、腹圧を高めて体幹を安定させ、さらに姿勢を保つためにも働くことから「コルセット筋」とも呼ばれています。
ちなみに、上体起こしではこのアウターマッスルの腹直筋ばかりが活動してしまいます。
腹直筋ばかりに頼ってしまう身体の使い方になると、上腹部と下腹部の筋力差だけでなくアウターマッスルとインナーマッスルの筋力差もさらに広げてしまうということです。
応用編
こちらからは、腹横筋にスイッチを入れる感覚がわかった方用です。
スイッチを入れる感覚がわれば難易度を上げてみましょう。
どのように行うかというと、実践での③「お腹を最大限凹ませる」を「お腹を最大限膨らませたまま」お尻の穴を絞めてスイッチを入れて深呼吸してみましょう。
腹部全体に力をいれて膨らませるのがポイントです。
息も止めてしまいやすいので止めないように気を付けましょう。
ドローインに比べて意識することが多い分かなり難しいです。
体力も相当つかいますので、追い込みすぎないようにもお願いいたしますね。
これがある程度できるようになると、お腹に腹圧が高まる感覚がこれのことかとわかるようになると思います。
腹圧が高まるということは上達すればするほどコルセットを巻いていなくても巻いた状態を再現できるようになるということです。
それを感覚として知ることができます。
これを「ブレーシング:Bracing」といいます。
どちらも呼吸で行うエクササイズですが、意識ひとつ変えるだけで難易度も効き方も変わります。
このブレーシングでの目的は
・腹圧が高まる感覚を知り、さらに上手に活用できるようになること
・日常生活でもより効果的にインナーマッスルを参加させること
です。
まとめ
呼吸のエクササイズ。
いかがでしたでしょうか?
まとめるとふたつの呼吸エクササイズの目的の違いは
ドローイン:腹横筋の感覚を掴む、強化 ブレーシングの導入前やリハビリに行う→コンディショニング
ブレーシング:高強度のトレーニングや複雑な動作の準備段階に行う→パフォーマンスアップ
※ドローインが意識してできることが前提
と言ったところでしょうか。
もし、行っていただいても腰痛が変わらない方のパターンとして考えられるのが、
・日常生活に生かせていない
・そもそも、姿勢や骨盤の傾きと痛みの関連性が低かった
・関連性はあったが、別の部位の使い方や状態に痛みとの関連性が強い
のどれかが基本的に考えられます。
この呼吸のエクササイズの大きな利点は、慣れてくると寝てても、座っていても、立っていても呼吸を行うだけでできるという点です。
最初は仰向け、次に四つん這い、座った状態、立ったままの順番で練習してみましょう。
1日最低3呼吸などと決めていただき、少ない回数でも大丈夫なので、できるだけ毎日実践して、少しでも変化を感じていただければと思います。
また多くても10回×3setほどで十分です。
また基礎代謝もあがりやすくなりますし、ある程度心拍数もあげることができるのでダイエット目的の方にも運動メニューに組み込んでいただくのをオススメいたします。
なんどもいいますが、運動はなんでも目的次第です。
例えば、腹筋を割りたいという目的であれば上体起こしのほうが優先度が高くなります。
今回は腰痛や姿勢にフォーカスしたエクササイズを紹介させていただきました。
インナーマッスルトレーニングでよく聞く「プランク」という種目も、ドローインでまず感覚を知っていただいてから行うことをオススメします。
症状や過ごし方によっては別の運動がいい場合ももちろんありますし、運動強度をあげるために負荷を上げる必要もあるかもしれません。
とはいえ、腰痛のためにも、姿勢のためにも、これから運動習慣を身につけるための基礎練習という意味でもこの運動は本当にオススメできますので、ぜひお試しください。