皆さんはEMSをご存じでしょうか?EMSとは、電気パルスを用いて筋肉を収縮させるトレーニング方法です。EMSを使えば寝ているだけで腹筋を鍛えられるということで家庭用デバイスや治療院で使う機器として広まりました。しかし、このEMS。確かに筋肉を鍛えることはできますが、筋肉を増やす目的や脂肪燃焼を目的としてる人にはオススメできません。。EMSは意味ない!という意見もありますが、この記事ではEMSでできることとできないこと、またその理由を中立の視点でしっかり解説します。これらを理解してないとEMSを購入しても目的にあってないということになりかねませんので、EMSが気になるという方や購入を検討しようとしている方はぜひ最後までお読みください。
EMSの基本原理
- 電気刺激による収縮
通常の運動では、脳からの神経信号により筋肉が収縮しますが、EMSでは外部からの電気パルスが直接筋肉に作用し、収縮を促します。 - ターゲットとなる筋肉
EMSは特定の筋肉グループに焦点を当てることができ、普段のトレーニングではなかなか鍛えにくい部位にも働きかけることが可能です。
このようにEMSは、電気刺激により筋肉の収縮を促して筋肉を使うことができます。適切に装着すれば、ターゲットの筋肉を必ず収縮させることができるのは、大きなメリットです。
筋肉の「収縮能力」について
筋肉を収縮させることができても筋肉の収縮にはいろいろな種類があります。
- 筋力
筋力は、筋肉が一度の収縮で発揮できる「最大の力」や「瞬間的な収縮力」のことを指します。目標物に対して筋力が足りないと持ち上げることができません。 - 筋持久力
持久力は、長い時間にわたって一定の収縮を持続できる「耐疲労性」や「持続的な収縮力」のことです。マラソンなど、目標時間に対して筋持久力が足りないと同じ運動を維持できません。 - 収縮速度
収縮速度は、筋肉が「どれだけ速く収縮するか」という速さです。筋力と似ていますが、力と速さは別の能力です。走行動作などで収縮速度が足りないといいタイムを出せません。 - コントロール力
筋肉の制御能力のことを指します。コントロール力が足りないと、そもそも収縮がうまく行えなかったり、思い通りに動かせないということになります。
筋肉トレーニングは、部位ごとにこれらの収縮能力をそれぞれ意識して鍛えることが重要です。
EMSで鍛えることができるものできないもの
鍛えるができるもの
- 筋持久力、コントロール力
EMSは装着することで対象の筋肉を刺激し、収縮させることができます。そのため、コントロール力が低い部位でも収縮させる感覚を掴むことができます。また、当て続けている間は、それなりに収縮の負荷を感じることができるため筋持久力の向上も期待することができます。
鍛えることができないもの
- 筋力、収縮速度
しかし、逆に言えばEMSの収縮負荷は長時間耐えれる程度の負荷ということです。筋力を鍛えるには、最大筋力の約80%の負荷が効率がいいとされていて、回数でいうと10回ギリギリできるかどうか、時間に対しても1セット1分以下しか耐えられないような負荷設定が重要です。収縮速度もゴムバンドを使用するなどして、速く動かすことを身体に慣れさせるように取り組むことが重要なため、寝た状態でEMSをつけてもこのふたつの収縮能力はあまり期待できません。
ダイエットに対してEMSで期待できる効果できない効果
期待できる効果
- 引き締め効果
筋肉は収縮を促す頻度が多いと、適度に緊張し筋肉をいつでも使えるように準備をします。適度な緊張した状態になることで、見た目上でも引き締まり、ウエストや二の腕に対して効果が期待できます。 - 基礎代謝の向上
コントロール力が低くていままで使えなかった部位が使えるようになることで、特別に運動をしなくても、筋肉の使用量が増えて基礎代謝の向上も期待できます。しかし、効果量はそこまで期待できません。
期待できない効果
- 脂肪燃焼
基礎代謝が向上する分の代謝以外の代謝向上の効果はあまり期待できません。脂肪燃焼には、息切れするほどの心拍数増加が鍵です。EMSでは、あまり心拍数の向上は期待できないため、EMSをつけている時間が脂肪燃焼のトレーニングの代わりとして、置き換えることはできません。 - 筋肥大
筋肥大には、速筋を鍛えると良いとされていますが、速筋に重要なのは筋力と収縮速度のためEMSでマッチョなかっこいい身体になることはあまり期待できません。
まとめ
EMSは痩せるために装着するというよりは、意識するのが難しいインナーマッスルなどを意識するための補助ツールとして利用するのがオススメです。どんなに便利そうな健康グッズでも目的と使い方がとても大切です。実際に怪我や手術後のリハビリの現場でも、筋肉の萎縮を防ぐためにEMSが活用されることがありますし、自力での運動が難しい場合でも、EMSを用いることで筋肉の活動を促進できます。
EMS自体はとても素晴らしい道具で、コントロール力を養うのは本来であればとても難しいですから、ぜひうまく活用いただければと思います。