近年、女性の間で「脚痩せ」や「引き締め」を目的に、足パカ運動が注目を集めています。しかし、実際に痩せたとか引き締まったという声もあれば、腰や膝を痛めた、股関節をいためる、骨盤底筋が緩むからやめたほうがいいという反対意見もよく目にします。今回は足パカ運動は良いのか?良くないのか?について柔道整復師の資格をもつ私の個人的な見解を述べたいと思います。
仰向け足パカ運動とは?
仰向け足パカ運動は、床に仰向けに寝た状態から脚をまっすぐ上げ、そこから脚を左右に開閉する動作のエクササイズです。ヒップラインやウエストラインの引き締め効果も期待できるといわれています。内ももの筋肉(内転筋)を鍛えることが手軽に自宅でできるため、運動初心者や出産後のリハビリとしても取り入れやすいエクササイズです。
足パカ運動が注目されている理由
自宅で手軽にできる
足パカ運動は特別な器具がなくても、家で気軽に始められる点が大きな魅力です。忙しい毎日の中でも、隙間時間を使って運動できるため、継続しやすいエクササイズと言えます。
インフルエンサーの影響
女性トレーニーやトレーナーのインフルエンサーが発信していて、さらにその人のスタイルが綺麗なので、説得力があります。
脚全体の引き締め効果が魅力的
定期的に続けることで、日常生活動作では鍛えられづらい内ももや股関節など、脚全体の筋肉をバランスよく鍛えることが魅力です。筋肉が引き締まると、脚のシルエットが整い、スタイルアップが期待できます。
足パカ運動の懸念点
腰痛や膝痛のリスク
骨盤は、股関節を開くと前傾しやすく、閉じると後傾しやすくできています。これを運動連鎖というのですが、骨盤を固定できていない状態で足パカ運動をすると、意図しない骨盤の動きにより、腰に負担がかかることが予想されます。腰痛のリスクは十分に考えられるため注意が必要です。
膝に関しては、内ももの筋肉が筋肉痛になっていると痛みを感じるかもしれませんが、内ももの筋肉を鍛えることで膝の痛みは予防しやすい傾向にあるため、過度に心配する必要はないでしょう。
股関節を痛めるリスク
股関節の運動なので、当然やりすぎれば痛めますが、股関節を跨ぐ筋肉を鍛えることが目的なため、負荷がかからないとトレーニングになりません。股関節に関しては心配する必要はないと思います。
骨盤底筋が緩む
骨盤底筋とは、骨盤内の臓器を支え、排尿や姿勢の安定に重要な役割を果たす筋肉群です。しかし、この骨盤底筋が緩んでしまうとは、考えにくいです。内ももの筋肉の付け根に近い部分に付着しているため、多少なりとも力を入れる可能性が高く、むしろ締まる可能性が高いです。おそらく、柔軟性が向上することと、筋肉が弛緩することが混同してしまっている人の意見だと思うので、これも気にする必要はなさそうです。
足パカ運動で得られる運動効果について
正直、痩せるとは考えづらい
運動で痩せるときのルールのようなものがあります。脂肪燃焼を目的とする場合、軽い息切れをする以上の運動強度が必要です。実は、心拍数と脂肪燃焼は密接に関係していて、心拍数の範囲に「脂肪燃焼ゾーン」という言葉があるくらいです。そのため、足パカ運動にそのくらいの強度があるとは思えないため脂肪燃焼効果にあまり期待はできません。体力レベルがとても低い場合は少し期待できるかなという程度、ともかく脂肪燃焼が目的の場合は他の運動を選ぶべきだと思います。
引き締め効果はありそう
しかし、筋肉を鍛えることはこの運動でもできるので、足の引き締め効果は期待できそうです。引き締め効果を作るためには、低負荷でターゲットの筋肉を反復して使うことが重要だと私は考えているので、むしろ引き締め効果に関しては理想的な負荷だと思います。
血行促進とリラクゼーション
ゆったりとした動作で血流が促進されるため、運動後のむくみ解消やリラックス効果も期待できます。
開脚の柔軟性向上
トレーニング=身体が硬くなるというイメージがあるかもしれませんが、その関節や筋肉にとって大きく身体を動かすと、柔軟性が向上します。足パカ運動は開脚を繰り返す運動で、日常生活の動きより大きく股関節を使うので、柔軟性が向上します。
まとめ:足パカ運動についての結論
期待していい効果:内ももの引き締め効果、血行促進、開脚の柔軟性の向上
期待できない効果:脂肪燃焼、ヒップラインの引き締め(横向きや立った状態の足パカならアリ)
結論
足と足の間に隙間を作りたい!という目的で引き締め効果を狙いにいくならアリ!
しかし、「骨盤を腹筋で固定できるなら」です。腰痛リスクは避けられないため腹筋が弱い人はまずドローインやプランクからはじめて感覚をつけてからが良いでしょう。下っ腹も引き締まります。
個人的には、足パカ運動するくらいなら、膝でボールを強く挟みながら、ももの裏に効かせるスクワットのほうが期待できる効果が多いのでそちらの方がオススメです。
ながら運動で行う補助種目として足パカ運動を活用するのが一番賢い使い方だと思います。